学会組織

会長挨拶 (2015)

  • 2015/1/1 

Summary

 会員全員で,日本比較生理生化学会というまれにみるすばらしい学会とその環境を後世まで維持し,会員が闊達に研究そして教育について議論できるように,なにとぞ皆様のご支援,ご協力をお願いいたします.

 新しい年を迎え,日本比較生理生化学会会員の皆様には,こころよりお喜びを申しあげます.

 早いもので,2012年1月に会長に就任してから4年目,最終年度を迎えます.昨年は,International Congress of Neuroethology(ICN)との並列で国内大会(2014 ICN / JSCPB)が開催され,たくさんの会員の皆様に参加いただき,大変盛況であったことはまだ記憶に新しいところです.ICNの母体であるInternational Society for Neuroethologyや海外からのICN参加者とは友好が図られ,今後もJSCPBとISNが協力していくことが確認されました.また,ICN / JSCPBに先だって行われた総会において,これまでの吉田記念(賞)講演が本学会の学会賞として引き継がれ,学会賞を富岡憲治会員が受賞されました.

 本年の国内大会(第37回)につきましては,吉田将之会員(広島大学大学院生物圏科学研究科)に大会委員長としてお骨折りをいただき,日本比較内分泌学会との合同で,12月11日(金)から13日(日)に広島市のアステールプラザにて開催されることとなりました.両学会間はこれまでにも合同大会などを通して交流を図ってきましたが,さらに密な連携が図れるものと期待しています.

 また,本年の8月には,第9回国際比較生理生化学会議(ICCPB2015,大会長のPawel Koteja氏)が,ポーランドのクラクフ(Krak?w)で開催されます.2011年に名古屋で第8回国際比較生理生化学会議が開催されてから早いもので4年が経ったわけです.本学会からは6つのシンポジウムが提案され,採択されています.ご提案をいただいた会員の皆様にはこころよりお礼申し上げます.昨年の大会において,ICCPB2015参加支援の予算措置が認められ,各シンポジウムのオーガナイザーにはわずかではありますが,支援が予定されています.本学会の若手の皆さんには,昨年設立された若手研究者の海外渡航を支援する原富之賞など本学会の新しい制度を活用して,ぜひICCPB2015の国際舞台で活躍いただければと思います.クラクフは欧米の旅行雑誌や旅行サイトで「世界一すばらしい観光地」と称されているようです.ぜひ,たくさんの会員が参加されることを期待しております.

 尾崎まみこ副会長を中心に進められている本学会の出版事業「研究者が教える動物実験—感覚・神経・行動—(全3巻)」も本年度発刊予定となっています.現行の学習指導要領の実施に基づく大学入試(センター試験)も今年はじめて実施されますが,高校の生物では「環境応答」の項目が大幅に追加変更となり「神経行動学」がひろく取り入れられ,生物教育における「実験」の重要性が指摘されました.すでに次の新学習指導要領に向けた動きも、中教審から出始めているようですが,ますます,生物教育における「実験」の重要性が高まり,本著の意義もさらに増してくるものと思います.

 一方で,わたしたちをとりまく研究環境はけっして順風ではなく,研究活動を根底から揺るがす事件が多発しています.研究者倫理に関する問題です.捏造(Fabrication),改ざん(Falsification),盗用(Plagiarism)のFFPについては, 繰り返し喚起されながらも,ウェブを介して画像データの不正使用を文科省に告発するような自体も起きており,文科省も調査を始めざるを得なくなったようです.研究者としてあたりまえのことがあたりまえでなくなり,心苦しい限りです.本学会でもこれを真摯に受け止め,学会活動を通して,正しい研究者倫理を浸透させていくことも必要になってきたのかも知れません.

 本学会は,会員数もほどよく,研究者相互に深く研究を理解して忌憚なく議論し,研究仲間として相談しながら相互にポリッシュアップできる,若手にもまた老齢の研究者にも非常に刺激的で良い環境の学会であることは誰しも認めるところと思います.しかし,学会の運営に当たっては研究室に事務局を置かざるを得ない問題,法人化の問題,予算の問題など,小規模な任意団体として多くの問題を抱えています.本年度も会員の皆様にとってより有意義な学会となるよう副会長そして各幹事の協力のもと,全力で学会運営に当たっていきたいと思います.しかし,もっと重要なことは,会員の皆様が積極的に本学会を愛し,そして支え,大会にも積極的に参加いただくことに他なりません.

 会員全員で,日本比較生理生化学会というまれにみるすばらしい学会とその環境を後世まで維持し,会員が闊達に研究そして教育について議論できるように,なにとぞ皆様のご支援,ご協力をお願いいたします.

 

  2015年1月1日 

日本比較生理生化学会 

会長 神崎 亮平 

2014-2015年期 日本比較生理生化学会役員

 

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