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松果体波長識別機構の分子基盤に関する分子生理学的解析と進化学的考察

  • 2015/3/16 
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Summary

ヤツメウナギなどの下等脊椎動物の松果体では,紫外光と可視光の比率(いわゆる“色”)を識別することが知られており,その紫外光受容の分子基盤としてパラピノプシンと呼ばれる光受容タンパク質が同定された。

   図は,円口類ヤツメウナギ(カワヤツメ Lethenteron camtschaticum )の頭部の写真。ヤツメウナギは,両眼の尾側に7対の鰓孔を持つ。それらの鰓孔が目のように見えることから,1対の眼と7対の鰓孔を合わせて「八つ目鰻(ヤツメウナギ)」と名付けられたとされる。最も下等な脊椎動物の一種として知られる。頭頂部の鼻孔の尾側に,楕円形に色素の薄くなった「松果体窓」と呼ばれる部位があり,その直下に本稿で注目する松果体が位置している。松果体は,脊椎動物の間脳背側に存在する脳内器官であるが,哺乳類以外の脊椎動物の松果体は光受容器官としての機能を有する。さらに,ヤツメウナギなどの下等脊椎動物の松果体では,紫外光と可視光の比率(いわゆる“色”)を識別することが知られており,その紫外光受容の分子基盤としてパラピノプシンと呼ばれる光受容タンパク質が同定された。

大阪市立大学大学院理学研究科 山下(川野)絵美

 

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.32 No.1 表紙より)

 

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